書籍「夜の谷を行く」桐野夏生
2017年発刊の桐野夏生さんの小説
「夜の谷を行く」を読み終えました。
1972年に実際に起きた連合赤軍事件を
ベースに書かれたストーリーですが、
主人公や周辺の人々は架空の人物という
フィクションとノンフィクションが
混ざった実験的なミステリー小説です。
わたしが生まれる前の事件でしたが、
という映画を観たことがあったので、
事件の内容はおおむね知っていました。
映画で知ったときの事件は、当時の
時代背景を理解していなかったので、
まるで違う世界で起こった出来事の
ように感じてしまったのですが、
この本の物語の舞台は2011年で、
現代的な視点で語られていくため、
映画よりも感情移入ができました。
事件によって課せられた服役を終えて、
ひっそりと社会で生きている中年女性が
事件の主導者とされる永田洋子の死や、
東日本大震災などの出来事を通じて、
逃げられない過去と対峙していきます。
特に事件の様相は、女性たちの目線から
語られていくので、一般認識の事件とは
違った角度から読むことができました。
とても読み応えのある作品でした。
(●'ᴗ'●)✧